IAN INOUE AHERN / August.2026

額縁工房片隅閉じます宣言をした際に、フレミストとしての新たな一歩を応援したいとご依頼いただいたのがイノウエ イアンさんでした。

気持ち的にドン底だった中でイアンさんの声がけはとても励みになり、救いになり、どうにかいい形でお応えしたいと考えました。

今回の唯一のオーダーは作品プレートをつけて欲しいということだけで、あとは自由にやりたいようにやって下さいと任せていただきました。そして「再生の明かり」というタイトルも自分の状況に寄り添うように感じられました。

彼自身クリスチャンで絵の内容的にもその要素を強く感じたので、それに相応しい額装を考えました。一見現代的な抽象絵画なのでミニマルな枠を回してライトに仕上げる案もありなのだけど、今回はもう一歩キリストの物語に踏み込んで、教会の一室に飾られても恥ずかしくないような重厚な仕立てにしようと思いました。

材には硬い殻のうちに生命の象徴とも考えられる実を隠し持つ胡桃の木を使い、生と死、光と影の二面性を表現するように大きめの傾斜をつけた三角の形にしました。また、通常額縁では避けることが多い木の節も、生命感を感じ、山や森の木々が感じられる絵の内容にもマッチするし、弱みをも認めてくれる「許し」と捉え、敢えて外さずにアクセントとして使いました。マットにはイエスが馬小屋で見つかった時に麻布で体が包まれていたという物語から麻布を使うことにしました。キャンバスの側面までは絵画的な意図を感じなかったので文字通り作品を包み込むように作品寸法にピッタリはまる窓のあるパネルを作って麻布を貼り込み、作品を嵌め込みました。

プレートは真鍮板にエッチングで黒文字を彫り込んでもらいました。内容は明朝体系でシンプルに日英文で作品タイトルと作者と制作年。これが付くと一気にミュージアムピースの様なオフィシャルな佇まいになりました。

大きな作品なので他の仕事の合間合間に進めていて仕上がりまで4ヶ月ほど時間が掛かりましたが、この額装ができたら僕も復活するような気持ちで取り組んでいたので仕上がった時にはとても嬉しかったです。