TANNO Kyoka / Mai.2026

懐かしのクマクラさんからご依頼で、丹野杏香さんの作品を額装しました。
「ずっと額装したいと思っていた大切な作品を額装してほしい」と、送ってもらった作品を眺めながら額装案を考えていました。
黒と白だけで構成されているこの作品はおそらく余白部分も重要な要素の一部だと感じ、マットで紙面を隠すことはせず、浮かし額装で全面を見せることにしました。
タイトルを訪ねると〈”採集” 野山にて〉というシリーズだと聞き、栗の木がたくさんあるうちの裏山の景色を思い浮かべました。
ちょうど栗の木を鉄媒染で色付けして作った角丸の額があり、その画像を送ると「好きな雰囲気!」とお応えがあり、その方向性で進めることにしました。





フレームのかたちは作品のおおらかなかたちに合わせるように角丸にして、少しぽてりとした段差を設けました。
最近、使い始めた内側のRですが、木目の強い栗材だと逆目に入ってしまい木がはじけて何度かやりなおしました。
色味も試行錯誤しながら鉄媒染で一度黒くしてから紙やすりで全体をやすり、導管だけが黒くなるようにしました。
その上に柿渋で赤みを付け、一週間程置いて色が落ち着くのを待ちました。
そこからオイルを塗り、最後はワックスで落ち着きのある雰囲気に仕上げました。
こうしてできあがったナチュラルな古色と栗材のうねりのある木目が、作品と呼応しているように感じます。
枠の古びた雰囲気とは対照的に現代的な浮かし額装と細身のシルエット、壁にピッタリかかる仕様が今の時代の作品の額装として成立している、というようなことになればうれしい。
