Kentaro SHIMOYAMA / Oct.2024

下山健太郎くんの設営に向かう途中、佐塚くんと「箱」について話していた。ちょうど先週までムサビ通信のスクーリングで複合表現?的な科目で箱をテーマに作品を作る授業を担当していた佐塚くん。自由にやってと言ってもジオラマっぽくなっちゃうとか、箱といえばコーネルさんだよね、なんて話していたけど、ふと思えば今回の健太郎くんの作品はまさに「箱」の話でもあった。ただし、健太郎くんの箱の中にはあるのは「絵画」に限られる。

先月額装の相談を受けてから健太郎くんのアトリエで作品の見せ方について色々検討してきた。「絵が飾られた壁をそのまま切り取って持って来たような感じにできたら」という方針を伺い、「そしたらその切り取られた壁(作品を貼るベース部分)も作品だよね」と、この一ヶ月半ほどの期間、健太郎くんは絵を描くと同時に絵とベースとの関係も試行錯誤しながら制作を続けてきたと思う。

倉持くんが作ったアイアンの深みのある額はまさに「箱」となり、現実空間と作品が飾られている壁を5ミリ程の薄さで切り分ける。その額の中のゆったりとられたマージン(作品と枠までの距離)と深さ、アイアンの重厚感が建築的な空間を作り出し、絵画空間の奥行きを助長する見え方を生み出している。また、その箱の中の空間には、こちら側の世界の時間と、絵画の中の世界の時間がたゆたう。

この展示に訪れたら額のない景色も想像してみると面白いかもしれない。そうして見ると額の持つ機能、作家の意図が垣間見えると思う。

ここまで作家自身が作品と額との関係を意識して制作し、提示している展示はこれまであまり見た記憶がないので、絵が好きな方はもちろん、額縁について考えてる人にとっても有意義な展示になっていると思いました。

下山健太郎個展「Feel at Home」

2024年8月23日(金) ~ 9月15日(日)
13:00-19:00
水曜日 ~ 土曜日、最終日曜日
入場無料 / 上記時間外アポイントメント制にてオープン可

会場 CALM & PUNK GALLERY